宮永 友里恵 YURIE MIYANAGA
2014年入社入社を決めた理由は?
造形に関わる仕事に就きたいと思い、ジュエリーに限らず幅広く就活をしていました。毎日目にするものだから、自分が本当に良いと思える品物を作っていること、手を動かしてものづくりができること、社員の方々が高い意識を持って仕事に取り組んでいること、これらの全てを満たしていたのがミキモト装身具でした。同じ大学出身の先輩が活躍されていたことも背中を押しました。
現在の仕事について
現在、私はパイロット生産課にて鋳造品の細工、仕上げ、石定の工程を行っています。以前は各工程での分業による生産が基本でしたが、ここ数年はひとつの商品を仕上げるまでの多くの工程を一人で担い、完成作業までを手掛けていく「セル生産」体制によって多能工化が進められています。商品が出来上がるまでの工程を自らの手で行いたい、という自分にはぴったりでした。
現在の部署に配属されて数年が経ち、難易度の高いデザイン(商品)も徐々に任せてもらえるようになりました。しかし、先輩との経験値の差を感じる場面はまだまだあります。例えば、一つひとつの工程をきちんと仕上げていくことはもちろんですが、同じ商品を数多く制作した場合でも全ての品質を高く均一に保つこと、リングの内側の角の取り具合、イヤリングのバネの硬さ、クラスプのボタンの浮き具合で変わる押しやすさ等々、感覚的なものもありますが、自分にはまだまだ先輩ほどの安定感がありません。
また、今までにない新しい機能を備えた商品を手掛ける際には想定外の事態がよく起こってしまいます。制作中にどのような問題が露呈するのかを予見すると同時に、商品が完成した後も長期の使用に耐えられるのかといったトータル的な見極めについても、やはり先輩から学ぶことが多く尽きません。
今後の目標について
修理や改作の依頼で持ち込まれた、何十年も前に当社で制作された商品に触れる機会がありました。修理にてお預かりしたリングは、毎日着用されていたであろうことから表面に傷がついており、わずかに変形もしていました。フルエタニティのリングでしたので、きっと何かの記念日に大切な方から贈られたリングだったのかもしれません。お客様の手指の一部となって日常の生活に溶け込んだジュエリーとなっていたように感じ、作り手としてとても嬉しくなりました。私たちがお届けしたジュエリーが、お客様に長年愛用されていることを実感しました。
現在は当時とは別の部署に在籍しているため、お客様の品物に直接触れる機会はありません。しかし、毎日数多くのジュエリーを仕上げていても、その一つひとつがお客様の大事な宝物になっていること、また、何十年も後に修理や改作などの依頼によって自分たちの手元に戻ってきても恥ずかしくないように、自分が美しいと感じられるジュエリーをお届けしていくことを常に心に留めています。
私の目標は、先輩クラフトマンから「宮永にはもう教えることはない!」と言ってもらえることです。先輩方も日々技術を磨いているので、それは果てしない目標でもあります。新人が毎年入社してくるごとに、教わる立場であると同時に教える立場にもなっていきます。先輩の背中を見ながら、後輩達にも自分の背中を見られている事を忘れずに、日々の業務に取り組んでいきたいと思います。