キャスト・機工課

藤井 直之 NAOYUKI FUJII

2017年入社

入社を決めた理由は?

恥ずかしながら就職活動を行うまで、MIKIMOTOというブランドをよく知りませんでした。大学生時代は材料力学を専攻しており、材料の特性や構造力学を考慮した設計を、シミュレーションや実験を交えて行っていました。そんな自分にとって宝飾品業界は遠い存在であり、就活でも始めは機械や電機のメーカーばかりを考えていました。そんな折、研究室の教授からミキモト装身具の紹介を受け、本社を訪問・見学することになりました。業務部門だけでなく、生産の拠点も中目黒のような都心にあるのかと驚いたのを今でも覚えています。生産現場ではそのほとんどの工程を人の手で行っており、まさに「ものづくりの世界」だと感じました。また、鋳造の現場では馴染みのある光景も見かけ、「金属を加工すること」や「複数の素材特性を活かして組み合わせることで一つの製品を作り上げる」という観点では、学んでいたことと通ずるものがあると感じました。

私は就職活動の第一の軸として「業界でトップクラスの技術・シェアを持っている企業」であることを挙げていました。ミキモト装身具は長い歴史と高い技術力、そして良いものを作るという強いこだわりを持っているのだと見学や選考が進む中で感じ、まさに自分の理想に合う企業であると考えて入社を決めました。

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担当している仕事と今後の目標について

私は所属しているキャスト機工課で、キャスト(鋳造)の仕事を担当しています。キャストは、ジュエリーの土台を形成するための最初の工程であり、プラチナ(白金)・ゴールド(金)・シルバー(銀)といった貴金属の地金を溶かして鋳型に流し込み、リング、ペンダント、ブローチなどの製品やそのパーツを形作ります。

キャスト工程では、まず始めに銀で手作りされた原型をシリコンゴムで包んで焼き固め、そのゴムを医療用のメスで切り開くことで、原型と同じ形状の空洞を持ったゴム型を作製します。そのゴム型にワックスを流し込み、原型と同じ形のワックス・パターンを必要数用意することができます。使用する金性(地金の種類)ごとに分けられたワックスをツリー状に組み立てたのちに石膏で埋没し、炉で焼成して鋳型を完成させていきます。この鋳型の空洞に高温に熱したプラチナやゴールドといった地金を流し込むことで、求める形状を一度に複数個作ることができるのが、キャスト製法の特徴であり利点の一つです。

キャストによるジュエリーの生産は、今でこそ業界に欠かせないものとなっていますが、日本では当社が初めて導入し、1954年(昭和29年)には生産ラインの確立・運用をしていたと言われています。一度の鋳造で数多くのジュエリーを生み出すことのできるキャスト製法は、その当時は画期的な製造方法であり、原価を抑えながらも生産力を大きく発展させたものであったと思います。このようにミキモト装身具は数ある企業の中の一つではなく、ジュエリー業界のパイオニアとしての役割を創業当時から担っていたことがわかります。

日々の鋳造自体は鋳造機により行いますが、その日の気温や湿度、品物の数や形といった諸条件により、驚くほど簡単に鋳込んだ品物の具合が変わってしまいます。埋没に使う水の温度や量、品物の配置などを調整することでこの問題に対応していきますが、そのさじ加減の見極めには経験則が不可欠です。また、「ゴム切り」という作業一つをとっても、そこには型のずれを最小限に減らすための切り方があり、ゴム型からワックスを外す際の負荷を軽減するために、必要に応じて型を分解するなどといった工夫が必要となります。品物のどこをどのように切れば「ずれ」が小さく、かつワックスやゴム型への負荷が小さくなるのかという判断にも高い経験値が求められます。

しかし個人の経験則に頼るだけでなく、論理的に物事を捉えて改善策を導く必要があるということも日々実感しています。様々な分野より集まった人材が、多方面から最高のジュエリーという一つの高みを目指している当社で、工学の出身である私が活躍をするためには、金属の融解・湯流れ・凝固などに対する知識や問題解決に対する論理的な思考を身に着ける必要があります。

今後の目標はキャスト工程だけでなく、その前後の工程現場での経験も積むことで技術的な方面からの理解をさらに深めていくとともに、大学時代に学んだ工学的・論理的な観点からも鋳造の改善を行えるようにすることです。そのためにも今は日々勉強中です。

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