逸品セル生産課

坂元 絵里 ERI SAKAMOTO

2006年入社

入社までの経緯

私は小さい頃から絵を描くことや何かを作ることが好きでした。高校では美術デザインコースを選択し、洋画、日本画、デザイン、クラフト制作等の授業を専攻して美術を中心に学びました。そして大学では、一番好きで自分に合っていると思えた金属制作のセンスを磨くために金属工芸を専攻し、板金、鋳金、彫金、鍛金、等の習得に努めました。
就職を考えた際にまず頭に浮かんだのは、実は小学生のときに修学旅行で訪れた御木本真珠島の記憶でした。展示されていた「パールクラウン」に衝撃と感動を受けたことがずっと心に残っており、MIKIMOTOのジュエリー制作に関わりたいと思うようになったことがきっかけで、就職のご縁を頂きました。

今までのキャリアと現在のお仕事は?

入社してからの二年間は、鋳造品の細工~仕上げの工程を担当することになり、ジュエリー制作の基礎技術を学びました。これらの作業工程を通じて、様々な商品デザインからMIKIMOTOジュエリーの造形感を養うとともに、ブランドとしてのブレない品質基準を教わりました。「これくらいで大丈夫」といった曖昧な感覚は一切なく、「ここまで手をかけなければ最終検査に通らない、納品することができない」といったミキモトブランドの非常に高い品質基準を認識するに至りました。
その後は原型課に配属され、以後7年間は手作りでの原型制作を担当していましたが、8年目から習得に取り組んだのがCAD設計で、伝統ある手仕事に最新技術であるCADを融合させるといった今までにないものづくりの形を模索して、自分の制作技術の幅を広げることに繋がりました。その後も逸品の石定や仕上げ工程を経験し、現在は細工・CAD・石定・仕上げといった各工程の仕事を担っています。
入社以来、様々な工程を担当させてもらいながら、ジュエリー制作に欠かせない多くの技術を習得したことで、広い視野でものづくりを捉えられるようになったと思います。

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当社のいいところは?

ジュエリー制作を行う環境としては、私はかなり理想的な職場環境ではないかと思っています。当社には創業以来110年というとても長い歴史があり、数え切れないほどの職人さんが長らく受け継いできた技術・技能を土台とする「ものづくり」の会社です。ジュエリー制作に特化した優れた技術を持ち合わせているだけでなく機械設備も十分に備わっていますので、先輩方の高い技術を間近で見ながら教えてもらえるとともに、一連の制作工程を深く学ぶ事が出来ます。
また、通常の生活をしていれば絶対に目にすることのないような希少価値の高い宝石類を取り扱ったり、ハイジュエリーの制作に携わる機会もありますので、ものづくりを一生の仕事にしたいと考えている方には、なかなか面白い会社だと思います。

この仕事の魅力、やりがいは何ですか?

デザイナーの描く平面的なデザイン画を元に、ジュエリーはクラフトマン達によって立体的に形作られていきます。どのような立体として表現するかはその人の持つ感性や造形的センスといった個性が現れますので、つまり10人の作り手がいれば、10通りの形状が出来上がることになります。もちろんデザイナーからの細かい指示があるので全くの自由というわけではありませんが、作り手の感性に任されている部分もあります。
クラフトマンとして仕事をする上で面白いのは、やはり形作るジュエリーの造形に、自分が今までに培ってきた感性を盛り込めることにあると思います。自分が美しいと感じるフォルムを表現することができますので、そこが作り手の面白さでありこの仕事の醍醐味ではないかなと思います。自分がこれまで生きてきた中で育んできた「感性」や「造形美」を表現できるところが一番の魅力です。
多くのクラフトマンが共同で手を掛けていく大柄のネックレスやティアラ、また、周年事業にて制作する美術工芸品などについても、皆で作り上げて完成させていく達成感も素晴らしいものがあります。デザイナーが思い描いていた以上の商品が出来たと伝え聞いたときや、商品を購入されたお客様からの喜びの声を聞けたときなどは、この仕事をしていて本当に良かったと思えます。

仕事をする上で大切なことは何ですか?

“現状に満足せず、自分を甘やかさず、妥協しないこと”。「商品をつくる事」と「作品をつくる事」は似ている様でも全く異なります。商品として「美しく魅力的であること」はもちろんですが、装着感、品質、納期、制作時間、販売価格など様々な事柄を考慮し、クリアしていく事が求められます。作り手だけが満足するのではなく、そのジュエリーを身につけて下さるお客様のことを考え、ミキモトのジュエリーとしてどのような場面に出しても自信を持って提供できる商品を作っていかなければなりません。ですので、全ての工程に一切の妥協はありません。
創業から110年に亘って受け継がれてきた先輩方の技術は宝であり、私たちにはそれらの伝統を受け継ぎ、そして後輩に伝えていく使命も併せ持っています。これからミキモトのジュエリーが何十年後、何百年後も世界中の人達から愛される存在であり続けるためには、伝統を守りながらも時代に合わせて進化していくことも非常に大切です。私もクラフトマンの一員として、さらに活躍していければと思っています。

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